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手作りコイル

コイルって?

コイルは電気と磁気を互いに作用させて動かす電子部品です。 コンデンサ、抵抗器と合わせて、電子回路の基本ととなる部品です。 電流を安定させたり、電圧を変換したり、信号を取り出したり、といったはたらきがあります。

コイルのしくみ

コイルの基本は、電線をグルグル巻いた構造です。 コイルに電気を流すと電線の周囲に生じる磁界が束ねられて強まり、電磁石になります。 電線を巻き付けるための芯をコアといい、コアに鉄やフェライトを使うと、コイルが生み出す電気と磁気の作用が強まります。 コイルの作用は巻数や半径の2乗に比例し、長さに反比例します。コイルが電気と磁気を相互に作用させることができる度合いをインダクタンスといいます。 また、コイルには不思議な性質があり、磁界や電流が変化しようとすると、これらの向きや勢いを保とうとして、変化に逆らうようなふるまいをします。 コイルに流れていた電圧をとめても電流を流そうという力がはたらき、このときコイルには今まで流れていた電圧とは逆極性の電圧が発生します。これを逆起電力といい、今まで流れていた電力と同じ電力を持っています。

コイルのはたらき

コイルのはたらきを見るひとつの例として、逆起電力を使った昇圧の様子をみてみます。

よくあるLEDは、通常、単3乾電池1本では光りません。乾電池は1.5Vの電圧で、LEDが光るためには2V〜3V以上の電圧が必要です。

次の図のように、コイルの逆起電力を使って電圧を上げる回路を作ってみます。 ※図では乾電池2本になっていますが、乾電池は1本になります。

タクトスイッチを押し、放してみてください。 放した時、一瞬ピカっとLEDが発光します。 今度はタクトスイッチを素早く何度も押したり放したり、連射してみてください。

タクトスイッチを押すとコイルに電圧がかかり、磁力が発生します。 次にスイッチを放した瞬間、電圧が切れますが、コイルの性質により磁力を維持しようと逆向きの力が発生します。 磁力の発生と同時に電圧も発生し、LEDを光らせるのに十分な電圧になります。 このときの電気の流れの向きは逆になりますので、LEDの極性は逆向きに取り付けます。

コイルをつくる

それでは、コイルを作ってみます。

材料はエナメル線と、巻き付けるための芯になるもの。 芯はエンピツでもラップの芯でもトイレットペーパーの芯でもなんでも良いのですが、ある程度の太さがあると、コイルの力が強まります。

エナメル線を、芯にただひたすら巻き付けるだけですが、注意点があります。 必ず一定方向に巻き付けること 巻き付けた回数を数えて、100回以上巻き付けること エナメル線が絡まったりして、巻き付ける方向が途中で変わってしまったり、エナメル線を強く引っ張って切ってしまわないように注意してください。 また、エナメル線は細いので、指を切ってしまわないように注意してください。

巻き終えたら、巻いた部分の両端をセロハンテープでとめて、芯から外れないようにします。

そして、エナメル線の両端を紙ヤスリで軽く削ります。

それでは、先の回路で使われていたコイルを、いま作ったコイルに入れ替えて動かしてみましょう。